先日、かなり深い時間まで飲んでいた。
さすがに大好きなヒューガルデンも飽きてきて、
「なにか、夏らしいのはないかな?」
とマスターに尋ねた。
「夏らしい……ですか?」
「うん。……モヒートは、まだなんだよね?」
「そうですね」
「じゃあ、ギムレット」
「ギムレットですか?」
「うん。小説に出てきたんだよ。夏の飲み物だって。
レイモンド・チャンドラーって人のハードボイルド小説なんだけど」
「何て言うタイトルですか?」
「忘れた」
しかし、いまは便利な時代だ。スマホですぐに検索できる。
「<The Long Goodbye>ですか?」
スマホを見ながらマスターが言った。
「あ、そうそう。長いお別れ」
「ギムレットには早すぎるっていうセリフが有名らしいですよ」
「そうか……そうだったかな……全然覚えてないや」
ネット上にはあらすじも載っていたが、読んでも全然印象がない。
間違いなく、大学生のころ読んだハズなんだが……。
まあ、それはともかく、その夜(というか朝)は、ギムレットで乾杯した。
たまにはショートのカクテルもいいなあ、と再認識した。
ところで、やはり小説の内容が気になって、
電子書籍で買ってみた。本当に便利な時代だ。
しかも、昔読んだときは「清水俊二」の翻訳だったが、
いまは「村上春樹」版があるという。早速「村上」版を買ってみた。
面白かったら、またギムレットを飲もう。
もちろん「GOLEM」でね。